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期待した「指のび~る」の売れ行きは?

 ユニークな商品ばかりを扱っているサンコーが、家電にチカラを入れている。2017年にお茶碗2杯分のご飯を炊くことができる弁当箱サイズの炊飯器を販売したところ「ひとり暮らしの男性を中心に売れた」(サンコー)。ハンガーにかけるだけで温風によってシャツや靴下などを乾かすことができるアイテムも「予想以上に注文が入った」(同)という。

 そんななかで、昨年最も売れた商品は何か。「アイロンいら~ず」(7980円、税別)である。「なにそれ? 変わったネーミングだなあ」と感じた人も多いと思うので、簡単に商品を説明しよう。アイロンいら~ずを使えば、シャツを洗濯したけれどもアイロンをかけるのが面倒……といった不満を解消してくれるのである。使い方は簡単。脱水後のシャツを乾燥エアバッグにセットして、電源を入れると吹き出し口から温風が出てくるので、30分ほどでシャツのシワを伸ばしてくれるのだ。

 布団乾燥機のシャツ版のようなこの商品は、なぜ売れたのか。サンコー広報部の○(土へんに谷)晋介(えき・しんすけ)さんに聞いたところ、アイデア勝負だけではなく、ヒットの確率を高める手を打っていることが分かってきた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

●アイロンいら~ずの開発苦労話

土肥: 「アイロンいら~ず」が売れているそうですね。サンコーは年間120アイテムほど発売するなかで、この商品は昨年で最も売れたとか。開発の経緯を教えてください。

えき: 「アイロンをかけるのは面倒だなあ」と感じている人が多いのにもかかわらず、それを解消してくれる商品はなかなかありません。楽にシャツのシワを伸ばすことができないか、自動でできるのではないか、といったアイデアから企画がスタートしました。2015年9月のことですね。

 布団乾燥機を付けて、シャツを膨らませることができればシャツのシワを伸ばすことができるのではないか。試作品をつくってみたものの、風量が足りずにうまくいきませんでした。そこで、開発はストップしたんです。

土肥: たった一度の失敗で、開発をストップしたのですか。それはなぜ?

えき: 当時、まだ家電にチカラを入れていなかったので、社内から「本当に売れるのか」といった声がありました。家電を開発するのには初期コストもかかるので、開発をストップすることに。ただ、あきらめたわけではありません。

アイロンいら~ずによく似た商品はないか? と海外で探したところ、温風で服や靴下などを乾かすことができるモノがあったんですよね。2017年5月に、ハンガー型の乾燥機を発売したところ、ものすごく売れまして。ニーズがあるのであれば、企画がストップしていたアイロンいら~ずも

売れるのではないか、ということで再び開発することに。

土肥: 実際につくってみて苦労したことは何でしょうか?

えき: 当初の乾燥機は小さくて、熱も弱かったので、乾きづらかったんです。ただ、その課題は乾燥機を大きくすることで解決することができました。最も苦労したことは、脇から下の部分のラインをどうするか。この形にすれば、こっちにシワが残る、じゃあ別の形にしたところ、違うところにシワが残るといった感じで、何度も何度も形を見直しました。

土肥: 脇から下のラインがそこまで重要だとは。パッと見たところ「普通」な印象しかありません(失礼)。ただ、パッと見て「普通」なところが、この商品のキモかもしれません。

えき: シャツといえば男性のワイシャツを想像されるかもしれませんが、シャツにもいろいろな形がありますよね。女性用のシャツにも対応しなければいけませんので、脇から下のラインは本当に苦労しました。なんとか完成して、サイズはSから3Lまでであれば対応可能となっています。

●輸入品を販売して、リサーチをしている

土肥: サンコーはすべての商品をイチから開発するのではなくて、まずは輸入品を発売して、好調であればオリジナル商品を企画したり、ちょっと切り口を変えた商品を出したり。輸入品を販売してどのくらい売れるのか、リサーチをしているのでしょうか?

えき: はい。当社は、毎週3アイテムを発売しています。「これは売れるのではないか」と予想したモノは、初回数千個を出荷するケースもあるのですが、なかには数百個のモノもあります。売れ行きがイマイチなモノは、そのまま終売といった流れ。まずはスモールスタートをして、好調であれば、横展開したり、オリジナルの商品を開発したりしているんですよね。

 オリジナル商品が売れたら、改良を加えます。こういう機能を付けよう、軽くしよう、デザインを変えようといった感じで。同じモノを何年も発売するといったことは、ほとんどしません。新しい商品を発売すると必ずといっていいほど改善点が生まれてくるので、そこを改善して新たに販売するといった形ですね。

土肥: アイロンいら~ずのように、まずは輸入品を販売して、好調だったので、オリジナル商品を販売したといったケースはあるのでしょうか。

えき: あります。例えば、炊飯器。社内で「炊き立てご飯をオフィスの机で食べることができれば最高かも」といった声がありました。そうした商品はないかなと思って、海外で探したところあったんですよね。そこで「お一人様用 ハンディ炊飯器」を発売することに。蒸気の熱でお茶碗2杯分のご飯を炊くことができるモノなのですが、反響がよかったんです。

土肥: ふむふむ。

●糖質をカットする炊飯器を販売

えき: じゃあ、次はどうするか。家電量販店に行けば、たくさんの炊飯器が並んでいますよね。多くの商品は「味」にこだわっているので、そこで勝負をするとライバルが多い。味で勝負するのがいけないというわけではなく、視点を変えて「糖質」に着目しました。ダイエットをしている人にとっては糖質を抑えることができる炊飯器はうれしいはず。そうしたコンセプトの商品は日本で販売していませんでしたが、海外で探したところあったんですよね。

 使い方は一般的な炊飯器と同じ。お米を洗米して、水を入れる。あとはスイッチを入れるだけ。じゃあ、何が違うのか。ご飯を炊いたときに、糖質が溶け出します。その水を排出することで、糖質がカットされるんですよね。ご飯を「煮る用」と「炊く用」に水を分けるスペースが付いていて、炊いている途中に自動で水を入れ替えることができるんです。

 糖質を33%カットできる炊飯器(2万9800円)は1月31日に発売する予定で、昨年12月に予約を受け付けたところ、ものすごく好調です。

土肥: ダイエットをしている人にとって、「糖質は敵だー!」といった雰囲気がありますよね。ワタクシの周囲にもご飯を食べる量を減らしている人が増えているので、糖質をカットしたお米を開発することができないのか、と考えていました。農家さんがおいしいお米をつくることは重要ですが、その一方で糖質オフのお米もニーズはあるはずだけど、開発は難しいのだろうなあと思っていました。ただ、炊飯器がその役割を果たしてくれるのであれば、「これを買おう」という人もいるでしょう。

 とはいえ、気になるのは味。「糖質はカットされてうれしいけれど、味がイマイチだなあ」ということであれば、ヒット商品の仲間入りは難しいかも。

えき: 糖質カット炊飯器で炊いたご飯を用意しました。ぜひ、食べてみてください。

土肥: (もぐもぐ)うーん、食レポはあまり得意ではないのですが、味は普通ですね。他の炊飯器で炊いたモノと変わらないような。

えき: これまでたくさんの人に試食してもらいました。他社メーカーの炊飯器で炊いたご飯と、糖質カット炊飯器で炊いたご飯を食べ比べてもらったところ、「どちらか分からない」といった声が多いですね。ご飯はかみ続けると、甘みが増してきます。ただ、糖質カット炊飯器で炊いたご飯は、「あまり甘みが増さない」といった声があります。食感は同じでも、何度もかむ人にとっては、甘みを感じにくいかもしれません。

土肥: 一人用の炊飯器が売れた、糖質カットの炊飯器も予約は好調となれば、次の炊飯器も考えているのでしょうか?

えき: はい。先ほど申し上げたように、まずは輸入品を販売して、それが好調であれば、横展開をしたり、オリジナル商品を販売しています。炊飯器もオリジナル商品を考えていまして、現段階では具体的なことを申し上げられないのですが、他社があまり目をつけていないところを狙っていければと。

●期待していたのに売れなかった商品

土肥: サンコーは年120アイテムほど商品化しているわけですが、もちろんすべてのモノがヒットしているわけではありません。「これは売れるだろう」と思っていたのに、イマイチだったのはどれでしょうか?

えき: 2015年に「USB電動静音うちわ」(3980円)を発売しました。扇風機の風ってずっと当たっているとつらいですよね。じゃあ、電動であおいでくれるモノはどうか、ということで商品化しました。そこそこ売れたのですが、組み立てることも大変で、音もうるさかったんですよね。

 バリュミューダの大ヒット扇風機「The GreenFan」を目指して、USB電動静音うちわも静穏にして、価格も5980円にしました。初代のモノはネタで購入された人が多かったのでしょうか。2代目は苦戦しまして、価格を1980円に引き下げました。

土肥: 消費者の心だけでなく、バルミューダの尻尾もつかむことができなかったわけですね。

えき: 期待したのに売れなかった商品はまだまだあります。最近のスマートフォンはどんどん大きくなっていて、画面の奥をタッチするのが難しいという人がいますよね。手が大きい人はいいけれど、小さい人は片手だけで操作ができない。そんな悩みを解消するために「親指型スタイラス 指のび~る」(580円)を発売しました。

 親指そっくりのスタイラスをはめれば、指が15ミリほど伸びる。大きい画面のスマートフォンでも、楽々タッチができるんですよね。でも、あまり売れませんでした。

土肥: それはなぜ?

えき: モノはいいと思うのですが、形がリアル。よーく見ると、ちょっと引いてしまいますよね。

●「面白くて、役立つ」モノを出していく

土肥: それにしてもユニークな商品ばかり発売しているわけですが、企画はどのようにして進めているのでしょうか?

えき: 新商品のアイデア出しをやっていまして、アルバイトを含めて、全員が週に2本以上出さなければいけません。こういうことに困っていて、それを解消できるモノがほしい、といった意見でも構いません。一方で、このようなモノをこういう構造でつくってみてはどうだろうか、と具体的な意見でも構いません。また、そのアイデアに対して、何らかのコメントを付けなければいけません。

土肥: 部下が上司のアイデアにダメ出しすることも?

えき: あります。当社は商品が命。とにかくアイデアをどんどん出して、そこから「面白くて、役立つ」モノを出していかなければいけません。

(終わり)

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